日本のアーキビストweb版の方には、書誌事項だけを掲載したのだが、朝日新聞2004年2月7日朝刊に小川千代子氏の提言が「基本法作り行政の監視を」と題されて掲載されている。要旨は、文書基本法を制定して、公文書を適切に保存、公開していくべきだ、というものだ。

小川氏年来の主張が簡潔に述べられている。この主張については、日本のアーキビストweb版の資料集でみられる。公文書公開自体、何かばたばたと進められた観もある。手順からいえば、公文書全体をどう扱うか、を定めてから、国立公文書館へ文書を移管するようにした方がよかったように思うのだが、実際はそう行かなかった。そのため、残されるべき文書が大量に廃棄された可能性が捨てきれないようだ。

このことは、文書関係者の危惧するところであったが、どうやら現実のものとなってしまったようである。それをふまえての小川氏の発言だ。

文書館自体あまり知られていないので、小川氏の主張が新聞に取り上げられたことは、それだけで意義のあることだ。また小川氏のこの主張は小泉首相の施政方針演説への反響でもある。小川氏の具体的な主張に比べると、施政方針演説は提言だけ、とも言えそうだ。もしそうだとしたら残念なことだ。その提言を実現する方向で、具体的な作業に入ってもらいたいものだ。