日本とイタリアは、ともに地震・津波・噴火・洪水などの災害リスクが高い国であるといわれています。災害の発生にともない、人々の生命・財産・生活に直接かかわるアーカイブズ(文書・記録類)が散逸・滅失の危機にさらされる姿を、私たちは何度も目にしてきました。こうした苦い経験から生まれた被災資料のレスキュー技術や危機管理体制構築のあり方を両国が共有すること、そして、アーカイブズの保存・活用を通じて社会に新たな価値を付与し、被災した地方の再生などに結びつけていくことは、災害国といわれる両国が率先して取り組むべき課題であるといえます。今回の研究交流集会では、2013年よりマレオ・マレガ神父収集文書調査プロジェクトで保存修復技術の交流を行ってきたバチカン図書館、イタリアでアーカイブズ・レスキューの指揮にあたってきた国立アーカイブズ・図書資料保存修復中央機構の方々を交えて報告・意見交換を行い、アーカイブズ保存技術の相互的な創発と発信をめざします。

2018年2月6日(火)9:30~17:20
[会場]国文学研究資料館大会議室
(東京都立川市緑町10-3)
[参加費]無料

プログラム
9:00開場
9:30~9:40
 開会のご挨拶
 大友一雄(国文学研究資料館)
9:40~9:50
 趣旨説明
 太田尚宏(国文学研究資料館)
9:55~10:55
 アーカイブズ・プリザベーションの現状と課題
 青木睦(国文学研究資料館)
11:00~12:00
 マレガ・プロジェクトにおける保存修復技術の交流と協働
 アンヘラ・ヌーニェス=ガイタン(バチカン図書館)

12:00~13:00昼休憩

13:00~14:00
 イタリアにおける被災アーカイブズ・レスキュー
 レティッツィア・セバスティアーニ、エウジェニオ・ヴェーカ
 (イタリア国立アーカイブズ・図書資料保存修復中央機構)
14:05~14:45
 ユネスコ・ブルーシールドと日本防災ネットワークの現状
 栗原祐司(京都国立博物館)
14:50~15:30
 地方再生に向けたアーカイブズの活用
 加藤聖文(国文学研究資料館)

15:30~15:40休憩

15:40~16:40
 デモンストレーション「被災資料の乾燥・洗浄プログラム」
16:45~17:15
 意見交換
17:15~17:20
 閉会のご挨拶

[プロフィール]
アンヘラ・ヌーニェス=ガイタン博士
教皇庁バチカン図書館に所属する修復士で、
修復部門長を務める。
2005年に教皇庁バチカン図書館へ入館。

エウジェニオ・ヴェーカ博士
イタリア国立アーカイブズ・図書資料保存
修復中央機構に所属する保存修復士で、
副機構長を務める。
1978年にイタリア共和国文化財・環境省
(当時)入省。

主催
トヨタ財団研究助成プログラム「被災アーカイブズの新たな保存技術発展へのアプローチ」
科学研究費補助金基盤研究(A)「バチカン図書館所蔵豊後切支丹資料の国際的情報資源化に関する海外学術調査研究」

共催
人間文化研究機構基幹研究プロジェクト
日本関連在外資料調査研究・活用事業「バチカン図書館所蔵マリオ・マレガ収集文書調査研究・保存・活用」
科学研究費補助金基盤研究(A)「地域社会還元型の公文書活用システム構築に関する学際的研究」
国文学研究資料館基幹研究「アーカイブズと地域持続に関する研究」
人間文化研究機構広領域連携型「人命環境アーカイブズの過去・現在・未来に関する双方向的研究」

後援
全国歴史資料保存利用機関連絡協議会、一般社団法人文化財保存修復学会、情報保存研究会、日本アーカイブズ学会

お問い合わせ先:
nijlarchives_at_gmail.com

http://www.nijl.ac.jp/pages/event/symposium/images/20180206symposium.pdfでもご覧になれます。